映画とどこかまで行こう

主に観た映画の感想を。新作・旧作、劇場・DVD鑑賞混じります。時々テレビドラマも。

お休みに入ったので映画を観まくった 無言歌の巻

4本目:『無言歌


毛沢東時代の中国で、体制批判をしたと見なされた(実際に批判をした人もいれば、無実や陰謀で有罪になった場合もある)人が送られた再教育収容所を舞台にした話。
1956年に言論の自由が推奨され、人々の積極的な発言を促していたのが、翌年態度急変させて、これまで共産党批判した人を急遽粛正したんだそうな。恐ろしい。反体制派をあぶり出す大作戦だったんなら周到だけれどどうなのだろう(知識ゼロ)。
そして収容所に送られた人は、食料不足と過酷な労働で、大勢亡くなったんだそうだ。


収容所は全体的にもの凄く行き当たりばったり。
こんな荒野を耕したって畑になるまいよって場所を開墾させたり(しかも広大な土地をものっすごい少人数で)、亡くなる人が増えると「もう働かなくていいから寝てな」となったり、夜亡くなる人が多いもんで「夜は寝かせないで喋らせてろ」となったり、「もう人が死んでばっかりだから帰そう。代わりが来るし」となったり。
こんな適当な運営の「再教育」で、人々は苦しい生活にどんどん殺伐としてくる。食べられる物は、変な草でもネズミでも人の吐いた物でも死肉でも、何でも食べる。そして栄養が行き渡らず、容赦なく死んで行く。死んだら身ぐるみはがされる(最初はそんなことなかったんだが、後半どんどん酷くなる)。
知識層が多かったんだろうに、優秀な人材を何てもったいない!


偶然、国家の過去の罪、についての映画が続いてしまったけれど、中でもこの作品は一番「まだ続いていること」だ。時代は進んだけれど、中国ではまだ言いたいことは言えないし、知りたいことも自由には知れない。この映画は中国では上映できないだろう。
世界は変わりますように。いい方に変わりますように。