「なるべく前情報を入れずに観に行くと良い」という前情報により、チラシをさっと観た程度で臨んだ。「新薬で鬱治療中の患者が殺人事件を起こす。果たして副作用なのか?」という話か?…程度のスタンスで鑑賞。予告編↓も観ていなかった。
情報がないので、「さて、どんな話?」と問いかけながら観る。ストレートに薬害訴訟に発展する?あれ?患者が誰かをハメようとしてる?いやいや精神科医の陰謀?それとも全部妄想…? 観て行くうちに、ああ、これは監督が観客をコントロールしようとする映画なんだなぁ、と感じて来る。もちろんどんな映画だって観客の観る物は基本、監督が選んだ物だけなのだけれど、余計な情報や視点を入れたり逆に隠したりして、観客にミスリードさせようさせようとする映画というのがあるではないですか。これもその類いなんだなぁ、と。
こういう映画と分かったならば。演出の穴を探して本来の流れを読むべく、監督に勝負を挑む人も要るだろうけれど、私はぶんぶん振り回されてえーッ?そうくる?とびっくりしたい方なので、ひたすら身を任せる。監督の蒔いた余計な種の数々で、大体どんな話なのか遂に分かってからも、いつひっくり返されるのか身構えてしまい、最後の最後まで緊張して観てしまった。この、映画を観ている間の、自分と目の前に提示される情報とのやり取りが楽しかったなぁ!という映画。
しかも、あるシーンで複数の観客が「ひっ!(ガタッ!)」となった箇所があって、映画館で観るのやっぱ楽しいなあ!と感じ入った。
さて、結末に触れるので、以下は畳む。
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