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映画とどこかまで行こう

主に観た映画の感想を。新作・旧作、劇場・DVD鑑賞混じります。時々テレビドラマも。

お休みに入ったので映画を観まくった 瞳は静かにの巻

時間を読み間違えて計画が狂う。最近多いので、今年最後の反省にしよう(最後になるといいが)。


1本目:『瞳は静かに


「軍事政権下のアルゼンチンが舞台の映画」という前情報で、観ようと思っていた。
ちょっと前に山形ドキュメンタリー映画祭で観た、その時代に母親が行方不明になった人が、大人になってから彼女の消息を追う、という作品が印象に残っていて、もう少し知りたいと思っていたのだ(あの後しっかり調べやしないのが、自分のだめなところなのだが)。



映画は一見、「こども映画」。母親を事故で亡くした男の子(ものすごくかわいい)が、人生にすねながら送る春夏秋冬。キラキラのビー玉、冷たいミルク、習いたかった水泳と、習い始めた柔道、警察ごっこ、クリスマス(夏なのだ!)、ちょっと口うるさい父親、情報通のおばあちゃん…。
そういったほんとにどこにでもある「日常」の中に確かに存在する不穏な空気。ひそひそ話、意味の分からない大人たちの行動、やたら高圧的な内容のラジオ放送、道に付いた血糊、焼け残ったビラ、行方不明になる人.。そういう物も、当時は「日常」だったから。
映画は全然テーマについての押し付けがなく、淡々と少年の日々を描き、それが逆にとても怖かった。こうした子供時代を過ごした人が大人になって、当時は理解できなかった色んな出来事の意味にはたと思い当たる瞬間があるだろう。そしてすさまじい悔しさや恐怖や後悔に苛まれることがあるんだろう。
恐ろしい時代がもたらした傷の、深さと癒えにくさについて考えさせられた。