映画とどこかまで行こう

主に観た映画の感想を。新作・旧作、劇場・DVD鑑賞混じります。時々テレビドラマも。

世界にひとつのプレイブック: Silver Linings Playbook

そもそも邦題がぴんとこなかったので、原題は一体どんな意味なのかと調べた。Silver Liningは「銀の裏地」…で、↓このようなものを指すらしい。転じて、「希望の兆し」とか「物事の良い面」という意味になると。

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Playbookはスポーツチーム、特にアメフトの作戦・戦術を描いたもの、らしい(アメフトは劇中の重要な要素)。きっとこのポスターの真ん中にある図↓みたいなものが描いてあるのだろうと思う。

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「希望へのプレイブック」? そもそもなかなか日本人にはぴんとこないタイトルで、どうして邦題で「プレイブック」って言葉を使ったのかも若干疑問…。

 

タイトルはさておきギンレイで観てきた。話題作ではあったけれど、何となく好きになれない気がして封切時は行かなかった。そして観終わって自分の勘に納得。個人的に、登場人物全員が程度の差はあれど病んでいて、安定した人が皆無な物語はくたびれてしまうのだった。なんだか、『バッファロー'66』の実家での場面が全編に渡って続いたような疲労感が…。

ストーリーは、それぞれある事件がきっかけで精神的に病んだ男女が運命的に出会い、家族や友人とともに新しい一歩を踏み出すまでをコメディタッチで…という趣向のはず。

ただ自分は、主人公の二人は「ある事件」に遭遇する前から病んでいたと思うし、新たな恋をしたからって癒えるほど、その病は簡単じゃない。あの本人たちと、やっぱりどこかしら病んでいて不安定な周囲とで、「それからみんな幸せに暮らしました」となるとはカケラも思えなかった。明け方に怒鳴りあって警察が来る日や、家中のものを破壊する日はたぶん遠くない。

ただ、そう深刻に考えてしまって笑えなかったのは、ただ単に、私の立っている世界とは違う世界の映画だからなのかも知れない。アメリカの現代社会に生きていたら、自分がそこでどんな境遇かはともかく、ああいう状況下で主人公たちが見出した希望を、もっとリアリティを持って受け止められるんだろうと思う。

物事には、普遍的なものもあるし、ローカルなものもある。

タイトル以外に分からなかったことといえば、主人公は妻の浮気を目撃し、浮気相手を叩きのめして裁判にかけられ、刑務所か精神病院かの選択で入院していたようなのだが、そういった場合、病院での治療費はタダなんだろうか? 母親が息子を退院させたのは、父親が失業したからなのか、単に息子を早く手元におきたかったからなのか、どっちなのかしらん?