映画とどこかまで行こう

主に観た映画の感想を。新作・旧作、劇場・DVD鑑賞混じります。時々テレビドラマも。

新年初DVDは裸のおじいちゃん集団に追いかけられる映画:『レア・エクスポーツ』

年末にツタヤディスカスから借りて放置していたのを今頃観た。
北欧初、サンタクロースを題材にしたブラックコメディ…というような認識だったのだが、これはホラーコメディ?
ホラーによくある「封印されていた邪悪なものを掘り出してしまい、災いが訪れる」という話で、その邪悪な存在が、今まで善きものとされてきたサンタクロース。サンタじゃなくてサタンでした(山羊の角もある)、という駄洒落のような話でしたとさ。


レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース [DVD]

レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース [DVD]


サンタに仕える「使い魔」的な存在が、見た目「裸のおじいちゃん」そして字幕は「妖精」。
幼少時に読んだ絵本「かじやとようせい」を思い出してときめいた!
この絵本はタイトルが全部ひらがななことから分かる通り、まっさらな子供向けなのだが、「ようせい」は花にまみれた可愛い存在ではなく、子供の夢を破るような気味の悪い妖怪で、「ようせいのとりかえっこ」という、人間をさらって身代わりを置いて行く悪事を働く。鍛冶屋は息子が取り替えっ子に遭い、我が子を救うべく頑張るのだ。
その救い方が凄いのだが、それはまた別の話。


私の中の「ようせい」は、これだよこれ!…とわくわくしていたら、劇中でも主人公の少年の友達が消え、代わりに薄気味悪い人形がベッドに置いてある…という事件が勃発。とりかえっこだ!!!!
(「かじやとようせい」はスコットランドの民話らしいが、色々共通する話はあるのかも)


「ようせい」たちは、親玉の好物である子供(釜茹でにする)を集めるため奮闘し、おとりを追って夜の北欧の大雪原を、素っ裸でわらわらと追いかけて来る。そうそうないインパクトの画であった。
ああ、今年はこんな風に、おじいちゃん達にモテモテの年になるといいな(できれば素敵な…)。


若干、これが新年第一弾ってどうよ、という疑問(不安?)は残るものの、「フィンランドはロシアと接している」(今更…)、「オオオカミ猟は禁止されている」(希少だから?)、「トナカイをあれだけ獲れば8万5千ドル」、「子供と銃についてとか深く考えない」など、異国に関する新たな知識も仕入れ、「あれで大丈夫なのか?」というオチも興味深く、楽しめる作品だったことは確か。


試しに「妖精」を調べてみたら、フェアリーの訳語なのね。西洋の伝承に出て来る超自然的な存在の、善きも悪しきも全部ひっくるめたものを指すのでしょう。シェークスピアの『夏の夜の夢』がそれまでの妖精観を変えたそうな。