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映画とどこかまで行こう

主に観た映画の感想を。新作・旧作、劇場・DVD鑑賞混じります。時々テレビドラマも。

2011年映画ベスト10

映画

よかった順ではなく、あくまでも鑑賞順。


その街のこども


テレビ放映時にも繰り返し観たものだけれど。
子供の時に阪神淡路大震災を経験し、今は神戸から離れて暮らしている男女2人が、1/16に神戸で偶然出会い、夜通し街を歩きながら色んな話をする、という、森山未來佐藤江梨子2人芝居に近いシンプルなドラマ。
震災で受ける心の傷は、決して分かり易い物だけではないのだと気づかされた。他の人と比べたら一見ささやかだったり、見た目美しくなかったりする傷のとてつもない深さに、優しい光を当てた作品だった。こういうことが15年経って、ようやく語れるようになったんだなと思った矢先の今年の震災。また様々な傷が生まれてしまった。


その街のこども 劇場版 [DVD]

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100,000年後の安全


映像も美しかったのだが、考え方が新鮮で。科学者の人が「100,000年の間には、人類は様々な変化を遂げるだろう。今と同じ技術があるだろうか?言語は一緒だろうか?人の好奇心はいつだって旺盛なのでは?この施設が危険な物であることを、どうやったら伝え続けられるのか?」と真剣に未来の人とのコミュニケーションについて考えていて、想像もしたことのない時間の範囲に視野がぶわーっと広がる感じがした。やっぱりヨーロッパの人は時間感覚が違う気がする。日本の方がもっと短いサイクルで物を考えるような。だって100,000年!
放射性廃棄物の厄介さなど吹っ飛んでしまい、ひたすら100,000年の間に遂げる人類の変化や地球の変化について、ひたすら思いを馳せてしまった。これも今観たら、また違うことを考えるのかも。


100,000年後の安全 [DVD]

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん


「嘘だけど」とカメラに向かってびっくり目をする染谷将太が何だか良くて、観に行った。ラノベが原作らしい。そして原作ファンには大不評らしい。
凝り過ぎた設定や、鼻につく猟奇的事件やで、特に好きな要素はないはずなのに、「何これ凄いよかった!」とびっくりして映画館を出た。
でもどうしてよかったのか全く言葉にできず、怖くてもう一度観られないという…。主人公のモノローグにぽろぽろと涙が出たあの時の気持ちを思い出に…いやいや、失礼な、来年になったら再見しよう。



英国王のスピーチ


対してこれは今年もう何度も観た作品。いい悪いと言う以前に(いいのだが)、現在の自分に必要な作品だった。
人間、やりたいことと得意なことは違う。しかも得意なことを自分で得意と認識しているとは限らない。思ってもみなかった才能があることもあるし、苦手だと思っていたことに実は才能がある場合もある。
苦手なことをやらねばならない時に(今年はやたらそんな場面が多かった)、よくこの映画を思い出した。


英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

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『イリュージョニスト』


監督の前作(『ベルヴィル・ランデブー』)が好きだったし、原作はジャック・タチの幻の脚本!期待に違わぬ美しい、言葉少なで思い豊かなアニメーション。
フランスの古い映画で出会える「真の大人の軽やかさ」を久しぶりに味わった。
そして「ウサギにまつわるどきどき」は忘れられない…。


イリュージョニスト [DVD]

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『ミスターノーバディ』


タイトル・クレジットのハトだけでもうベストに入れる。
人間が死ななくなった未来の世界で、「死ぬ人間」最後の生き残りが主人公。彼の語る人生は、あちこち枝分かれした何人分もの物語が詰まっていて…という話で、映画の間中、楽しくて楽しくて仕方がなかった。人ひとりの人生に散らばる曲がり角、選択肢、可能性の無限の広がりを見せる映像の美しさと、物語の苦さったら!
物語の大事なキーワードになっている「ハトの迷信行動」は、「自分が行ったから負けた」とかつい思ってしまうサッカーファンには笑えませんな。


ミスター・ノーバディ [DVD]

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キッズ・オールライト


レズビアンカップルと二人の子供たち、そして子供たちの遺伝子上の父親の人間模様。
人のちょっとした心の動きが上手く描かれていて、俳優さんのやり取りを観ているだけで楽しかった。
同時期に『ブルーバレンタイン』を観て、すっかりやさぐれたので(あれもいい映画だけど!)余計にこの作品のキラキラは忘れられない。



『イグジットスルーザギフトショップ』


ストリート・アーティストとして有名なバンクシーのドキュメンタリー映画。
バンクシーの映画」の意味を誤解していて、途中で「ああ、こういうこと!」とびっくり。してやられました。
「芸術とは?」とか「"芸術"に群がる人々」についてニヤニヤしながら考えさせられた。
これで座席の周りが「酒気帯び男性集団」でなければもっと楽しめたのに!
あれだけ酒臭い人たちを入れるんならシネマライズもう行かない!と誓った作品でもある(大概こういった誓いは破られるけれど、そういえばこれ以来行ってないな)。


イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ [DVD]

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『ゴーストライター』


全く無駄のないサスペンス。ポランスキーの密室っぽさが好きで。異国、孤島、名前の出せない書き手などなどの閉塞感にわくわくした。現実のイギリス政治について、もっと知識があればまた別の楽しみ方も出来たんだけど!(そしてその後偶然、イギリスの政治とカルチャー史を学ぶことに)
原作を立ち読みしたら、ラストが違うのだ。なるほど!ああしたい気持ち分かる!


ゴーストライター [DVD]

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ウィンターズ・ボーン


行方不明になった父親を、過酷な状況下で探す少女の物語。よく『トゥルー・グリット』が引き合いに出されるけれど、こちらの神話的ですらある雰囲気が断然好き。
最初、物語中の独特の社会システムがよく分からずとまどった。この映画で初めてヒルビリーと呼ばれる人たちについて知ったという意味でも、意義深い作品。英会話のクラスで話したら、先生から『ビバリーヒルビリーズ』観てみなよ!と勧められましたとさ。


ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [DVD]

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『わたしを離さないで』は原作の方が好きなこともあり、10には入らないのだけれど、原作者の「あの物語は子供時代のメタファー」という発言で、また違う楽しみ方が出来た。
作者にとっての「子供時代の終わり」はあれだけの喪失感と傷みを伴う物なのだろうか。
旧作では念願だった『サタンタンゴ』、『ナッシュビル』が観られたのが最大の収穫。『警察日記』、『拳銃野郎』、『わたしを深く埋めて』も良かったなぁ。
ワーストは『軽蔑』(高良健吾が出てる奴)。ツマらなそうな映画はそもそも観ないし、もういい年だからあまり地雷は踏まないけれど、これだけは時間の無駄だったと思う。