映画とどこかまで行こう

主に観た映画の感想を。新作・旧作、劇場・DVD鑑賞混じります。時々テレビドラマも。

お休みに入ったので映画を観まくった CUTの巻

2本目:『CUT


劇場には監督本人(アミール・ナデリ)が来ていて、観客として来ていた可愛い女の子とのツーショ撮影に引っ張りだこだった。監督も女の子たちもかわいかった。ほのぼの。


ストーリーは、映画マニアの主人公が、兄の遺した借金返済のために殴られ屋になり、ひたすら殴られる、という話。殴られてる合間に、住んでいるビルの屋上で名画上映会をやったり、街頭で現在の映画のダメさを拡声器で訴えたり。
もうこの主人公の映画好きっぷりは狂的で、殴られている最中は好きな監督作品のタイトルと公開年(?)や「クソクズ映画」への呪詛をぶつぶつとつぶやき、気合いを入れるために映画監督のお墓参りをする。映画が撮りたい撮りたいとうわごとのようにつぶやき、殴られてボコボコの顔になっても上映会の開催は休まない。ただのよくいる小難しい理屈や知識を偉そうに演説するだけの野郎ではなく、もう「ばかばか、人の気も知らないで、そこまで言うならもう止めない、勝手にしな、頑張っちゃえ」と言いたくなる系。


イランの監督さん達の家族や恋人も、こんな気分なのかも知れないなとふと思った。
「映画を撮る」という行為自体が危険な社会で、それでも撮り続ける道を選ぶ作り手たちの周囲の人は。
まっすぐな尊い情熱は、狂気と隣り合わせ。



そして、最後の「映画ベスト100」で、やっぱり興奮しちゃうのだ。観客も(もちろん)映画好きだから。